やっぱり不適切演出！NHK「ダーウィンが来た」その後

9/1追記しました。

６／１　ダーウィンが来た！生きもの新伝説「まるでイソップ？札幌リス物語」において、エゾリスとシマリスを対比するための演出が不適切だったのではないか？という主旨の日記を６月に書きました。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20080604

その後、一般の方のブログなどでこの番組に触れた内容をいくつか見つけ、「演出そのもの」が「真実である」と受け止めているものばかりだったのでずっと気にしていました。

そこで、番組名から検索し、見つけたブログなどの内容から、

１　イソップに例えたのは演出、わかりやすくするためのたとえであり、真実そのものではない。
２　エゾリスは分散して貯食するのであり貯食の仕方が違うだけ。「キリギリス」のように夏遊びすぎて冬困っているとは番組では言っていない（つもりである）。ひげじいも「それじゃ（シマリスとエゾリスは）おんなじじゃないですか？」という意味の台詞を言っている。

この二つが視聴者に届いているかどうか、検証しました。
あ、ついでに餌付け撮影があったかどうかに触れているか　も調べてみました。

１０件ほどのブログを見て、結果は全滅。
全員が「演出」を「真実」だと思っていたと言ってよいでしょう。
やはり演出が不適切だったと確信を持ったのは、教養系ドキュメントなどについて評論したサイトでした。ここは「あるある」を批判した書物まで著作されている方なのに、「エゾリスは貯食しない」と書いてしまっている。

効きすぎた演出のイメージで見ているので、そのあと訂正っぽくひげじいに喋らせたことはほぼ１００％届かなかったということになりそうです。

また、餌付けについての批判も見当たらず「上手に撮影するには餌をもっていくこと」などと堂々と書いてあるところもあり、なんと申し上げたらいいか・・・・。自然や野生動物に対する謙虚さを忘れたらおしまいだと思います。どんな相手であれ「被写体を傷つけない」ことがルールだと誰かが言っていたことを思い出します。

最後に「平成２０年６月ＮＨＫ北海道地方放送番組審議会(議事概要)」というPDFでは、わかりやすくて楽しいというだけで、演出をそのまま受け止めてしまっている印象を受けました。

だいたい「わかりやすいわかりやすい」って言っても「何を」「どう」わかったのか検証なんてしてないですよね。「わかりやすい」は「わからなく」させる可能性もあるってことです。自然関係の番組は気をつけた方がいいと思います。

このことは、NHKにお知らせしたいと思います。くれぐれも「ダーウィン」に失礼の無いようにね・・。
また、今後もこの検証はぼちぼち続けていきたいと思います。当ブログと同じような指摘をしているところを見かけないと、なんだかほっとできないんです。

また６月の日記でも多少触れましたが、シマリスの方がエゾリスよりも自然要求度が高い（より原生的な自然じゃないと種を維持できない）と思います。エゾリスの方がやや人工化してもやっていける。つまりシマリスの方が自然破壊にはずっと弱いと思います。
すくなくとも、十勝の平野部、とくに帯広市街地の周りのシマリス個体群は「絶滅危惧状態」と言いたいほどなのです。（でもあまり強調すると札幌のようにペットやで売っている大陸系シマリスを放してしまう人が現にいるので強調できないのです。）

ああ、困ったものです・・・・。

追記

よく考えてみると、十勝地方ではシマリスの貯食するドングリの落果のピークは１０月第１から第２週です。そのあとからでないとシマリスの貯食は始められないのです。シマリスがいかにも（アリの様に）夏から働いているように演出していましたが、あれは事実上嘘ということになりませんか？

今データが手元にないので何ともいえませんが、記憶ではオニグルミの結実の方が早かったかもしれません。オニグルミを自力で割って食べる動物は、エゾリス、アカネズミ、（そしてヒトとカラス）です。シマリスは全く歯が立ちません。もしかしたらエゾリスの働きはじめの時期の方がシマリスより早いかもしれません。

もはや演出の限度をはみ出してしまったかもしれませんね、関係者に猛省を促したいと思います。
NHKまで、民放の動物バラエティー番組のような唾棄すべき演出（・・・というかアレは何？）に流される必要はないのです。実際には一番筋書きに素材を沿わせようとする傾向を強く感じるのはNHKですが、それが許されるのは筋書きがまともなときだけだと気がついてほしいです。