エゾリスの会 非公式ブログ!

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 エゾリスセンサス報告10/20・28


調査ルートの朝


帯広の森内の小動物生息状況調査」が正式な名称ですが、

小動物の生息状況を明らかにすることで、復元した森にどれくらい自然がよみがえっているか、そして、どの程度の自然とのふれあい(狭い意味ではどれくらい動物が見られるか)が可能かを推し量る材料にするのです。


帯広の森」の全環境を網羅できるように7本の調査ラインを設定し、そこを五班で分担して調査します。
地図上にリスの観察場所と個体数、状態を記録していくだけの簡単なものです。ルートさえとれれば小学生でもできます。これを春、秋に2回づつおこないます。雨天は中止していますがかならず各季節1回は行うようにしています。
秋はこれにチョウセンゴヨウの結実数も記録します。結実は未食と既食に分け、その年のものだけを数えます。


調査結果は100メートルあたり何頭か?という数字を「密度」として比較しています。
1997年から続けている調査なので、かなりデータもたまった来ました。今年度は林分毎の比較ができるといいなぁと思っています。


帯広の森は1年ごとに「植樹祭」で植えている場所と、「自然林」と、古い人工林など林分毎に全く違った性質の林がありますから、何か違いや動きがあるかもしれません。


上は、エゾリスのねぐらです。寝るためだけのものです。

調査ルートにリスを目当てにしたと思われる餌台や巣箱が見られます。

今回はかなり大きな箱が5基もありました。よく見ると枝を伐っているのもわかります。
気持ちは嬉しいのですが、こういうものがイレギュラーに設置されると、野生動物の調査結果で自然の復元度合いを推し量ることができなくなります。


じじつ、最も南のルートでは、餌台のためリスの生息と自然環境を切り離して考えざるを得ない場所があります。
リス≠自然になっては困るのです。
ご自分の家でペットを飼ってください。それができない人は野生動物や自然に対しても責任がとれるとは思いません。

とにかくイレギュラーな餌付けも巣箱もやめて欲しいと心から思います。

自然環境そのものの質と量のアップ以外の行為、とくに餌付けや巣箱は「自然へのドーピング」になりかねない面を持っています。局面局面で有効に使用することはあり得ますが、常用していいものかどうか、常にモニタリングと判断のくり返しが必要です。


今年度はリスは少ないままで春から秋へ移行したように思えます。
おそらく0.1頭/100mぐらいだと思います。平均値は0.18で、最高値は0.32(2002秋)、最小値は0.07程度(2004など)、昨年(2006)春は0.2位でした。今年は調査を始めた1997年と同程度です。


チョウセンゴヨウはほとんど結実していませんでしたが、じつは結実数と個体数の関係はよくわかりません。結実数の調査は4年くらいしかおこなっていないこともありますが、豊作年でも減少したり、ということもありました。


エゾリス2から3年おきに増加と減少を波のように繰り返しています。疫学に知識のある方は「はしか周期みたい」とおっしゃいました。高密度化と感染症の関係です。なるほど、そういう考え方もあるのか。


「自然は右肩上がりではない」と覚える必要がありそうです。


さて宣伝ですが。

来る11月17日土曜日14:00から15:30

帯広百年記念館博物館講座で帯広の森エゾリス調査の10年」

というタイトルで10年間のまとめを発表します。
場所は1階オーディトリアムです。

申込み参加料などは必要ありませんので、お気軽にいらしてください。


あ、それからですが、
もしかしたらもっと長期の調査を会でやるかもしれません。
生き物好きを募集していますよ!
その計画の下調べも行いました。

平成15年植樹


自然林内の第2柏林台