エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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十勝毎日新聞の餌付け記事に抗議します

当ブログでは再三餌付けが野生動物に与えるリスク、さまざまな問題について述べてきました。

餌付けがエゾリスを殺すこともある
http://d.hatena.ne.jp/noken/20111210

おすすめしません野生動物への餌付け
http://d.hatena.ne.jp/noken/20100125
http://d.hatena.ne.jp/noken/20070802

必要とあれば、NHKや新聞社に意見を送り、その意を伝えてきました。
とくに十勝毎日新聞は、餌付けについてあまり載らなくなり、理解していただけているものと思っておりましたが、今回の記事は配慮に欠くと言わざるを得ません。

直接エサを与えています。これがなぜいけないと考えるか、上記リンクの記事をよく読んでいただきたいと思います。
理屈はそこにさんざん書いてあるので、今更書きません。

件の記事では「車に戻ろうとした時について来た」ので驚いた、ともかかれていました。
このようなリスはおそらく交通事故で死んでしまう可能性が高いでしょう。

私の職場の前で、起きた出来事です。
エゾリスの親子が、駐車してあった自動車のタイヤの上に登り、そこに潜り込んだりして遊んでいたそうです。
そこに、運転手が戻って来たので、親リスは逃げたそうです。しかし運転手が乗車してドアを閉めても仔リスは逃げず……そのまま車が発進したため、轢かれてしまったのです。運転手は気がつかずにそのまま車はいってしまいました。親リスは仔リスのところに走って行って、様子を見たりしていたのですが、仔リスはもう死んでしまっており、動かなくなっていました。

まさか、自分の車のタイヤにエゾリスが登っていると思う人はいないでしょう。
そこまで、エゾリスを慣らしてしまったのは、餌付け以外考えられません。
私は十勝以外でもエゾリスを見たことがありますが、非常に警戒心が高く、野生のものは一瞬で隠れてしまいます。
十勝のエゾリスの暮らしぶりは「異常」な形だと思っていただきたい。

取材対象になった方には特に感情的なものはありませんが、正しい情報は知っていただきたいと考えます。

そして何よりも怒りを感じるのは、それを新聞に載せるということです(なんで「ひそかな楽しみ」のままにしてあげられないのだろうとも感じました)。

新聞に載せるということは「社会化」するということです。つまり、「こんな風に直接手でエサをあげられるんだよ、楽しいよ」と社会に宣伝したということです。その結果餌付けはどんどん増え、交通事故数はどんどん増えるでしょう。ただでえ公園はリスでいっぱいだというのに。

自分がエサ台に置くために倉庫にとっておいたエサが原因で、次から次へとエゾリスの交通事故が起きているお家がありました。そのかたはある公園で最も古いエサ台にエサを置いていた方でした。お判りでしょうか?エサをやり、リスが増え、そのリスが公園の外にある倉庫に来て轢かれているのです。自分で増やして自分が殺しているようなものでしょう。
でもその方はこうおっしゃいました「自分の倉庫が原因でリスが死んでいるのは知っていた。でもエサ台は続けたい」
これはどう考えるべきでしょうか?「リスが死んでもいいから餌をやりたい」これは精神的に強く依存してしまって抜けられない状態なのではないかと思いました。人間の感情とはおそろしいものですね(残念ながらそのような方はあちこちで見られます)。そのようなこともマスコミの方には知っていただきたいと思います。

このような流れで、餌付けがどんどん増えた例としては、マガモやハクチョウがあげられます。十勝毎日新聞では、餌付けがきっかけとなってハクチョウの交通事故が頻発した例も紹介されたことがあります。
しかし今回の記事は、その事例に学んでいなかったということになります。

かちまいさん、今回は残念です。責任を取っていただきたい。いまはそう思っています。


自然な食物連鎖以外で、ヒトと野生動物が接触する時、そこには見えにくい不幸が生じていることが多い。