エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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餌付けがエゾリスを殺すこともある

事故


以前の記事で載せた帯広百年記念館のはく製づくり教室でつかわれた死体は、そこに述べられているとおり、交通事故死体です。
この交通事故は餌付けそのものが引き起こすこともあります。
また、公園の中で餌付けを行った場合、繁殖が盛んになることがありますが、その個体が全部公園に定着することはありません。密度が高まれば、分散数が多くなります。そして車にひかれる頭数も増えます。

公園の中にすめるエゾリス頭数下限はその環境全体のバランスによって決まってくるのです。

そこに餌条件だけ突出させても、一時的な増加によって、にぎわったように見えますが、下限を支えることはできないのです。
リスを個体識別して生活を観察した研究によれば、帯広市緑ヶ丘公園のエゾリスは貯食を掘り返して食べることがとても少ないそうです。以下の研究調査時に見られた観察(テーマはやや違います)。
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902110324103998 (木村)木村さんからの私信による。

餌づけによる供給量が過大である証拠の一つと考えています。
また、厳冬期は編んだ巣ではなく、樹洞を使うのだそうですが、この数も制限要因の一つと考えられています。エゾリスが使える樹洞が限られているんですね。

餌付けにしてもなんにしても(たとえば巣箱も)、野生動物への干渉は、仲間内での競争を激化させ、干渉した本人はその結果にすら気がつかず、責任を取らないことがおおいと感じています。
餌付けとは、ほとんどの野生動物には必要ありません。人間が「自分の気分を満たすため」の行為です。

先般、新聞紙上に帯広市のコメントとして、公園の安全、美観について特に支障がないものには言及しないと受け取れる発言が載りましたが、これは野生動物の生態には全く踏み込んでいないものです。しかし、「ナニをやってもいい」ように受け取る方もいるでしょう。ですので、あのような書き方には賛同出来ません。
また、正直言ってエサ台は台もカスも汚いし、エサやり人ごとに台があるのは醜いと感じます。それから古いエサ台が壊れ、釘がむき出しのママ放置されてもいます。野生生物への影響も含め、管理出来ないことを野放しにするのは、管理の放棄でしょう。

何度も記事にしていますが、エサ台は「自然へのドーピング」と比喩することもできますし、野生動物、あるいは人獣共通の感染症の汚染源となり得ます。

おすすめしません野生動物への餌付け
http://d.hatena.ne.jp/noken/20100125
http://d.hatena.ne.jp/noken/20070802

市民の意識、行政の体勢も含め、改善を求めたい。エゾリスの、まだあたたかい死体をひろうのは私ほかごく一部の方なんですから。

とにかく帯広では、エゾリスを増やしては轢き殺していて、それに対して何も感じていない街になっている。エサ台を見るたびにイヤな気分になります。あまりひどいようだと全部禁止した方がいいんじゃないの?という気持ちにもなりますよ。

追記:先日NHKが内地のクマ出没に対して、餌付けなどさらに悪化を招くであろう手段を保護手段として紹介していました。これでは論議の基盤にすらなっていません。NHKはなぜ餌付けを安直にいいこととして紹介するのでしょう。いったい何度指摘したことやら。
クマ出没増→短絡的に餌付け→クマ本当に増加→でもエサ不足と判断、さらにエサ撒き→さらに増加 というシナリオは想定しないのでしょうか。一体誰がどう責任を取るつもりなのだろうか。前よりも余計にクマを殺す必要がでてくる可能性もあるりすね。クマに謝ればすむのかな?

2010-11-08 NHK番組でまたまた餌付け!
http://d.hatena.ne.jp/noken/20101108