エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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餌付け問題:(財)日本野鳥の会や旭山動物園などの取り組み

財団法人日本野鳥の会(ブログ管理人は会員なのです)が
鳥インフルエンザと水鳥への給餌中止について」
というタイトルでHP上で意見を述べています。
http://www.wbsj.org/nature/kyozon/influenza/081224.html
項目は以下の3つにまとめられています。
1.野鳥への給餌についての基本的な認識
2.給餌が引き起こす問題
3.鳥インフルエンザと野鳥への給餌

*上でも述べられていますが、例えば水鳥を見に行ったくらいで高病原性鳥インフルエンザが野鳥から人に感染することはありません。(感染死した死体を素手で解剖したり、感染したニワトリと同じ生活空間を長時間共有したりなどの極端な接触は感染の可能性があります)
しかし靴底などで「意図しない運搬」をしてしまう可能性はすこしあります。別な鳥の群れに病原体を運んでしまう可能性は考える必要がありますし、ヨーロッパの例では病原体に感染した「餌」が原因と思われる鳥類の死亡例があります。それにインフルエンザはほかにも数ある感染症の一種類にすぎないのです。つまり人間は自分が「被害者」になることには過剰に反応しながら、一方では「加害者」になってしまう可能性を見過ごしてきたのです。

2007年8月の「オススメしません野生動物への餌付け」とあわせてお読みください。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20070802

もちろん呼びかけだけではすみません。問題解決のための具体的な施策・行動が必要です。個人個人が気をつけるようにしよう、というマナーだけでは具体的解決案とは到底いえません。餌付け問題は個人だけに責任に負わせるべき問題ではないと思います。

理想的には、公園なら公園管理者、河川なら河川管理者、そして環境省自治体の野生動物担当、あるいは全国的なNPOなどがしかるべき責任を果たすべきだと思います。責任ある組織がさまざまな情報、様々な人たちと力を合わせて行動計画をつくり、社会的合意を形成しながら実施することが重要という考えです。

多くのことで、そのように社会のルールはつくられてきたのですから、餌付けだけが例外とはならないでしょう。

昨シーズンまで水鳥への餌付けがさかんだった旭川永山新川では、旭山動物園や様々な立場の人たちが協力してコントロールに取り組んでいます。
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/koho/html/zoo.htm
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/zoo/juui/hitotoyasei0811.html



動物園が、あるいは関係している立場の人たちが、地域や環境に対するどのような「使命感」をもっているか、強く感じずにはいられません。

うらやましいことです。当地十勝ではまだこのような取り組みはごく一部ではじまった状況です。「このような」とは、多くの立場が協力しながら社会的な動きをつくっていくことです。餌付けは以前ほどさかんではありませんが、いろいろな動物で餌付け由来の事故が見られることも事実です。この記事で紹介した様々な情報を読んでいただき、それぞれの立場で何が必要かを考えていただきたいと思います。

付記 2011.4.19

*上記記事では「餌付け撮影」にはあまり触れていませんが、餌を同じようにやるならば同じことが起きるでしょう。「撮影者は被写体を傷つけてはならない」という最も大切なモラルを壊す結果を招く可能性について深く考えるべきでしょう。考えて、自分で責任を背負う覚悟を持って、決めてください。それには勉強も必要でしょう。
*別な角度から表現すると、写真としてみた場合、「動物に餌をやっている写真」を「動物の写真」と思い込んでいる方も多いようです。悩ましい問題です。また写真を見る方,評価する側のレベルも問われますね。