エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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再掲:2007-0801のエントリ 改題:自分の餌付けが原因でリスが死んでも悲しまない人たちは実在する

園内事故


駐車場でエゾリスに盛大に餌を手渡ししている人がいました。
そこは秋にエゾリスが車にひかれた現場近く(画像の死体の背景、横向きの車の辺りです。なんと駐車場の中でひかれたのです)だったので、それを伝えたところ……反省や後悔はもとより、一寸の憐憫(あわれみ)の情すらも浮かべず、他者の批判だけして(自分に言うくらいなら他の人にも言えというような)立ち去りました。
エゾリスに餌をやるのはエゾリスが好きだから、ではないんだなと思い、またこのエントリを再掲しなくてはと思いました。
*以前は車道で時速60km出してないとひかれないと言われていたエゾリスが、駐車場や園内道路でひかれるようになったのです。明らかに餌付けの悪影響です。
以下に多少加筆して再掲します。

十勝毎日新聞では最近、以下のような餌付け礼賛記事は見られないと思います(2018.3)。しかし昨年春の毎日新聞(全国紙のネット記事)のようなすぐにはわからないような餌付けも見られますし、先日の北海道新聞では帯広で撮影された手乗りの鳥類の投稿が掲載されました。

マスコミの認識不足・「餌付け」は「麻薬」
(2016.613タイトル変更しました……というよりは当初のタイトルに近い言葉に戻しました)

小型野生ほ乳類に素手でさわると、マダニやノミからリケッチアやSFTS、ダニ媒介性脳炎に感染する可能性が高まります。また、不自然に高密度な生息域を作り出すことは寄生虫が増え、感染症リスクが上昇する心配が高まります。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23780307/
ただし、この研究では人間に対して病原性があるリケッチアかどうかまでは明確になっていません。
しかし、もしその検体に病原性が無いとわかっても、将来的に病原性のものを運ばないとはいえないのです。
また、病原体はほかにもいろいろあるのです。
2014.225のエントリ重症熱性血小板減少症候群SFTS)ウイルスが北海道のマダニより発見」
http://d.hatena.ne.jp/noken/20140225

その後、気をつけなければいけない感染症が一つ増えました。
ダニ媒介性脳炎の男性死亡 北海道で国内初 後遺症残る場合も…
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/6/16301.html

餌付けなどでリスの密度を上げれば、ダニやノミなどの生息状況を利することになると私は考えます。

リケッチアについて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%81%E3%82%A2
http://www.jabfid.jp/disease/Pages/rickettsia.aspx

追記(2016.6):私が問いたいのは「もしエゾリスが重大な感染症の媒介者になったら、エキノコックスの件でキツネを殺すようにエゾリスを駆除するんですか?」ということです。きっと殺しますよね。
いまの餌付けの状態では、エゾリスは殺される、駆除される方向に進んでいるのではありませんか?SFTSや他の感染症の致死率はエキノコックスと比べて低いとは言えないのでは?

「ヒマネタ」が動物を殺す

この前アザラシの記事で、「野生動物には餌をやらないのがルール」と書いたばかりの新聞が、
http://d.hatena.ne.jp/noken/20070707

今度はこのような記事を載せています(画像)。

新聞に肯定的な形で載るということは、「どんどんやっていい」と世間は思います。

野生動物への直接接触で餌をやることをこのような形で奨励するなど、マスコミがしていいこととは思いません。

個人の楽しみなど、このような形で新聞に載せる必要はないと思います。もしやめようと思ってもこれでは引っ込みがつかないでしょう。それどころか、まねをする人がどんどん増えますよ。

このようなことの積み重ねが、先日のアザラシのトラブルを招いているとは思いませんか?

知床ではヒグマに餌をやっている観光客がいるのですよ!

もう少し良識を持っていただけないでしょうか?十勝毎日新聞さん。
記者さんよりは編集といったらいいんですか?デスクといったらいいんですか?そっちに問題を感じます。
大新聞だけでなく、地方紙にも、イヤ、地方紙こそ「科学部」が必要だと思いますよ。

絶滅を防ぐとか、生態を調べるとか、公共的に位置づけられたものならば、コントロールが効きますし、餌付けの意義があります。

しかし、そうではない「個人の楽しみ」を取り上げて「善行」とするならば、もしそれが動物に問題があるとわかったときには「悪行」と言われるリスクを負わせることになります。取材先を悪者にしてしまう可能性があるんですよ。

野生の動物にとって、このような餌付けはなんの意味もありません。人間側にだけ意味があります。「お腹がすいたときにやってくる」というのも、人間が自分の気分に都合良く決めつけただけです。

私の身近に
「餌付けが原因でリスが死んでもいいからリスに餌をあげたい」 というお年寄りが実際にいらっしゃいます(この方は2016年現在亡くなられています)。その台詞を、その原因で実際に死んだリスを目の前にして言えるのです。その方の家の前では実際に年間3頭ほどのリスの交通事故があります。

でも、「餌付けはやめたくない」とその方はおっしゃいました。
このような餌付けは「依存症」なのではないかと思い始めています。

追記(2016.6):この方は公園で餌付けが流行るずっと以前から餌台に少しづつ餌を置いていた方でした(現在は亡くなっています)。
おそらくいまから30年くらい前からでしょう。当時は、エゾリスをみると追いかけたり、石を投げたりという行為がみられた時代でしたから、親しむという意味はあったと思います。
いまひかれて死んだばかりのあたたかい死体を私が持って、玄関を空けたらお知り合いだったので驚いた記憶があります。実際たいへん穏やかで善良な方でした。
しかし、餌付けしている公園から、道路を渡って自宅の備蓄餌に来るリスたちが、玄関前数メートルで何度もひかれて死んでいても、私に言われるまでは全く手を打たない状態になってしまっていたのです。
餌付けでリスを増やして、自宅に結果的に誘引して死ぬ結果となっていた・・・それを「知ってる」と言った後で、「でも餌付けはやめたくない」と言ったのです。
この方はリスのことを可哀想に思ったようですが、ここに至るまで少なくとも10頭近いリスが死んでいたのを知っていたはずです。(2018.3加筆)
一体何のためにリスに餌をやっていたのか・・・おそらく野良猫でもなんでも良かったのかも知れません。ホントに餌付けなんて、人間が自分の気分のためにやることなんだと確信しました。

「餌付け」はアシ抜けできない「麻薬」のような存在なのでしょうか。

もし、この方が上の記事の取材先だったら(違いますが)、新聞はどうするべきでしょうか…………

「まき枯らし」を行います

noken2018-02-13


2月18日の里山をつくろうプロジェクト「まき枯らし」を行います。
午前9時 里山P活動地に集合です。
駐車場は森の交流館前の駐車場などを利用し、そこから徒歩で10分以上かかります。
スノーシューはいくつかありますが、持っている方はご持参下さい。
また、ノミやマイナスドライバーなど、木の皮をはぐことが出来る道具があれば、お持ち下さい。

まき枯らしの目的は間伐と同じですが、伐倒せずに皮を剥いで枯死させるものです。去年初めて着手したものですがイケるとなれば、チェンソーなどを使わなくてもある程度の間伐が可能になるというものです。
そのかわり、一般の方の立ち入りなどに注意喚起する必要があります。


画像は2016年のまき枯らしの様子です。

場所をそのままに、視線を上へ上げると………

鳥類調査&間伐 伐り口に残る「育樹祭」の歴史

鳥類調査


12月17日はモニ1000鳥類調査と間伐作業でした。
鳥類調査のほうは、たくさんの大学生の参加があり、うれしいかぎりでした。
たくさんの鳥は出ませんでしたが、オジロワシの突然の出現に沸き立ちました。

間伐作業にも学生が参加し、さっそくの修行?となりました。
ちびっ子も参加し、10センチくらいのカラマツを1本伐り、全体で5本くらい間伐しました。

間伐作業のなかで、興味深いものを見つけました。
プンゲンストウヒの伐り口に直線が二つ見えます。
これは、むかし切り落とした枝のあとです。

幹が太くなっていく過程で、枝の切り口を巻き込んだ様子がわかりますし、
年輪を数えてみると、ちょうどこの林で育樹祭が行われた時期と枝の切り口の時期が一致します。

※育樹祭について、十勝毎日新聞の記事です。
http://www.tokachi.co.jp/kachi/jour/05ikujusai/1.html
市民が植えた森を市民が手入れするのは一見ごく自然な流れに見えます。
しかし植えた人は、植えた木に思い入れがあるのもまたありがちなことです。
「木を植えるのでは無く、森を植える」という考え方ではありましたが、
手入れすること自体に抵抗感を感じる人もいました。なぜ植えたものを伐るなければいけないのかと。
そこで論議が生まれ、手入れの必要性が浸透しました。
当時、これを実現したことは画期的なことだったと思います。

この伐り口を見つめながら、みんなで森の成長を実感していました。

当ブログでは手入れの必要やそれが帯広の森と市民をつなぐ重要なものであると認識していますので、くどくど述べませんが、育樹祭がなぜ、「森づくりなど、市民団体による森と関わる活動」へと流れにならず、一旦切れてしまったのか?そしていま、どうしてそのような市民団体が増えないのか。そこは課題です。
「祭り」「イベント」という形式の限界だったのかも知れません。

さて、
この林分(昭和59年植樹の東区域)はもう少し針葉樹を減らし(現在約20%)、広葉樹主体の林に戻していきます。

間伐の様子についてはこのエントリのほうが詳しいかな?
2015年冬の間伐です。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20151220
樹冠の様子や周辺の空間、考え方などをざっくりと述べています。

冬の間、もう一度鳥類調査(2月4日)があります。多少早起きですが、ぜひ一度参加してみて下さい。
7:30調査開始です。
また、そのあと「富士フイルムグリーンファンド」の次期シーズンの打合せがあります。オオアワダチソウの抑制(地面を掘り下げ)その後の植生コントロール、間伐地でのモニタリングと一般の方への情報発信、についての打合せです。もし興味おありでしたらご参加下さい。10時よりはぐくーむで行います。

12月17日(日)鳥類調査と間伐します

12月17日(日)7:30〜 モニ1000 鳥類調査
年4日行っている鳥類ラインセンサスです。
あまり派手な鳥は出ません。「いつもいる鳥がちゃんといる」ことが大切なのです。
経験の少ないヒトは第3班に入ると見方(聴き方)を教わりながら調査に参加できます。

積雪のため、森の交流館の駐車場を利用して下さい。
歩くと集合場所まで10分ぐらいかかります!
お持ちの方はマイ双眼鏡とマイ・スノーシューをご用意下さい。
お持ちでない方はエゾリスの会のものをお貸しします。

同日引き続き
12月17日(日)9:30〜 里山P 間伐
目標となる森の姿に近づけていくために、針葉樹を中心に伐木します!
伐り倒したら、枝を切り落とし、整理しなければなりません。人手が必要です。
また、その木にリスの古巣などがついていたりして面白いです。
長期間の植生管理に興味のある方はどうぞ!

11月19日(日)里山Pオミナエシ周辺の植生管理。

この日はオミナエシ播種地周辺の手入れを行います。
オオアワダチソウ抑制の目標の一つとしてオミナエシを導入していますが、この広がりには適度な攪乱が必要です。植物に興味のある方の参加大歓迎です。

里山P集合地」集合 徒歩で「オミナエシ管理地」へ移動
https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=1EzgYQmO_Yq5_PLewx6fSUne4YUw&hl=ja&usp=sharing

参加希望の方はメールかメッセージをお願いします。長靴と軍手とマイカップ(お茶の時間あり)持参。

群落の画像は我が家の前の空き地(いまは駐車場になってしまいました)、もう一つは今年の秋、沢山結実した様子です。自然播種されているので、その援護を行うわけです。どちらの群落も、もとは帯広の森から得られた種子です。


巣材を集めるリス

ドロノキの皮も集めるんですね。
冬毛も発達してきています。もうすぐ冬です。

キツネもモフモフになっていました。

ここでは、キツネもエゾリスも近づいては来ません。
ちゃんと距離をとってくれる野生。
心地よい空間です。

「感染症」野良猫に噛まれてSFTS感染・死亡

noken2017-07-24


驚きました。エゾリスも現実に人間を噛んでいるからです。

これまで多くのエントリで野生動物への餌付けについて、そのリスクを書いてきましたが、
現実はその先を行ってしまいました。恐ろしいという実感・・・
猫に噛まれてSFTSで死亡、ということは、エゾリスに噛まれても似たような事態になることは容易に考えられます。

そして現実に噛まれている一般の方はいます。

「マダニウイルス 動物から初の感染例か 50代女性死亡」 7月24日 17時25分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170724/k10011072191000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_015

厚生労働省によりますと、去年の夏、西日本の50代の女性が、弱った野良猫を動物病院に連れて行った際に手をかまれ、およそ10日後にSFTSを発症して死亡したということです。」

実は、呼びかけにもかかわらず公園でもっぱら餌付けを行っている方の中には「グローブ」をしている方がいます。エゾリスが衛生的でないことを知っているんです。(ならば、やらなければいいのに)
しかし、エゾリスは持ち物や行動で「人間(というもの)にエサがある」と認識します。(人間がエサをくれる ではないと思っています)
つまり、餌付けに関係のない人にも接近します。
エゾリスは案外大きいので、駆け寄ってくると怖い感じもしますが、
そのかわいさに、つい手を差し出したり、その辺に落ちているクルミ(餌付け過多のため餌付け場では落ちていることもある)を持って差し出す、ということもあるでしょう。

エゾリスは(今のところ)攻撃性のある個体はいませんが(北米のハイイロリスでは数名のけが人を出す攻撃性を発揮した個体がいます)、ヒトの指をかじってみる個体はいます。歯はとても鋭いので簡単に怪我しますし、実際に噛まれた方もいます。
自分はグローブしておいて、他の人が噛まれる可能性を高めるようなことをしているのです。公園という公共の場で! 
も一度書きますが「噛む可能性・衛生的でない可能性」をわかっているのだから、多のヒトが噛まれる可能性に目をつぶる(他にもいろいろ目をつぶっているとは思いますが)のは「未必の故意」であろう、ということです。それが公共地であれば尚更です。

ところが、グローブが効かない状況が出てきました。
犬の唾液からの感染です。
マダニ感染症「犬からヒト」初確認 徳島の男性、既に回復
2017/10/10 18:13
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22077920Q7A011C1CR8000/

上の画像を見て下さい。
プライバシー保護のため極限まで画像を粗くして色も変えておりますが、小さな子がいる家族に、後ろの方が餌付けを勧めているところです。公園を普通に歩いていても、こんな風にすすめられることが結構あります。ここでもし、小さな子が噛まれたら、誰の責任になるのでしょう?
餌付け人は責任をとる気はないでしょうね。

そのような餌付け野生動物は「リードをつけていない犬の散歩」と似ています。
違いは「責任者の所在が見えやすいかどうか」です。
ペットを飼うと生じる責任はなぜ、野生動物への餌付けでは問われないのでしょう?

勝手に寄ってきたエゾリス

野生動物へは個人では責任はとりきれないのです。
個人それぞれのむいてる方向だってばらばら、やり方もバラバラ、結果もわからない。だから思い思いに餌をやってはいけないのです。生態云々の問題の前に、もしペットだったらこうすることが野生動物では不問なのか?それはまともなのか? 考えて欲しい。

エゾリスに人間を噛むような行動をさせているのは「餌付け人」です。
その行為に責任がとれるでしょうか?
出来ません。一つだけ、餌付けをやめることをのぞいては。

もしエゾリスが原因で病気などが生じたら、手のひらを返したようにエゾリスを殺すのでしょうか?キツネを殺しているように。

過去のエントリ
2014-02-25 重症熱性血小板減少症候群SFTS)ウイルスが北海道のマダニより発見
http://d.hatena.ne.jp/noken/20140225

2016-11-23 再掲 おすすめしません野生動物への餌付け
http://d.hatena.ne.jp/noken/20161123

2017-05-10 追記SFTS:「ダニ媒介脳炎」とエゾリスは餌付けを通じて接触しうる
http://d.hatena.ne.jp/noken/20170510

国立感染症研究所
動物におけるSFTSウイルス感染状況
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2342-related-articles/related-articles-433/6320-dj433a.html