エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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森と生きもの

もも


とある小学校5年生から森林と生きものについて問い合わせをうけました。金曜日に発表会があるので間に合わせたいとのこと。

質問が漠然としていたので学校に問い合わせたところ、
森は生きている 森林のくらし 森と動物 森と人間 という見出しだけはできているとのこと。

そこで、それらのテーマに沿って考えてもらえるように回答しました。
急なこともあって的確だったかどうかわかりません(包括的には書けなかった=森林についてあるいは上記の4つの見出しについて書き落としたところもあると思う)が、たくさんのヒントは示せたのではないかと思っています。

読み返してみると、2時間くらいで書いたので、はしょった部分もあるけれど、わかりやすくかけたと思える部分もあるのでのせてみました。

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○○小学校 ○○さん(4名)

森は生きている 森林のくらし(→森林の一年)
十勝の平野は150万年くらいまでは大きな湿原で今のような森はありませんでした。
7万年から2万年くらいまでの間のマンモスがいたころや、その終わりごろ、十勝にはたくさんの火山灰がふり(恵庭岳や支笏、然別などの噴火)、多くが砂漠のようになり、今私たちの見ている森林は、それ以後にゆっくりとできたものと考えられます。

十勝の中でも帯広では、乾いた地面にはカシワ、湿った地面にはハンノキやヤチダモの森が多いです(学校のまわりがそうです)。しかし、はじめからこのような木が生えるのではありません。

むき出しの土や砂、泥の地面に、草と競争しながら育つことができる木は、シラカバ、ヤマハンノキ、ヤナギ、ドロノキの仲間です。たくさんの種を空に飛ばし、成長が早い種類です。

その種類が林をつくった後、哺乳類や鳥が種を運んできたり、落としたり、又は風で飛んできたりしてだんだんと今の林に近づきます。同時に、昆虫や他の動物たちの働きや水や風の働きで、小さい木や草の仲間ができたばかりの林の中にすみ着いて生育します。

シラカバやヤマハンノキの林はカシワやミズナラが、ヤナギやドロノキの林はハンノキ、ヤチダモ、ハルニレが育つことが多いようです。
植物ではカシワの林の中にはスズラン、ササ、サクラスミレなどが多く、ハンノキの林ではギボウシ、エゾカンゾウオオバナノエンレイソウが多くなります。

このように、長い時間と順序で森になっていきます。

一年の中で見ても、森は季節ごとにようすが変わります。
学校のビオトープを例に紹介します。
雪が溶けてすぐには、カシワやヤチダモの木の葉が出ません。その前に、スミレの仲間が花を咲かせ、ユキザサやニリンソウ、エゾカンゾウが芽を出して伸びだします。
次に低い木が葉を出します。森からはなれてみるとまるで、緑が下から上にだんだん登っていくように見えます。6月になる前に、カシワやハンノキ、ヤチダモが葉を出します。
森の中が暗くなってから咲く花がギボウシやオオウバユリ等、何種類かあり、これらが咲く頃は、春に咲いた花が実を付けたり、葉を枯らして地中で眠りについたりしています。
(夏から秋,冬にかけては考えてくださいね)

このように、森全体が季節とともに移り変わっている様子が分かります。
数年前(調べてください)○○小学校の児童たちが、外来種の植物(オオアワダチソウ)を抜いたあと、このような自然がよみがえったのです。まるで手術をして健康になったように。

また、帯広の中でもカシワの森とハンノキの森があるように、他の地域に行けばまた違った森があります。十勝の中でも、針葉樹林、カシワ林ではない広葉樹林など。世界に目を向ければ熱帯雨林照葉樹林など。
季節の移り変わり、木や他の生物の種類、人の関わり方もそれぞれ違います。

*森ができるまでには多くの生きものや、風や時間がかかわっている。
*季節ごとの移り変わりがある。
*さまざまな地域や世界にはさまざまな性質を持った森がある。

森と動物
「森は生きている」で多くの生きものがかかわって森ができていったようすを書きました。
その生きものの多くは、森にすみ着くことになり、いろいろなつながりを持って生きています。

例えばシマリスは5月エゾイタヤ 6月ヒカゲスゲやハルニレ 7月オオヤマザクラ 8月ミヤマザクラ 9月キツリフネ そして10月はミズナラやカシワを食べたりたくわえたりして冬眠します(平凡社 アニマ201号)。
エゾリスも春はハルニレの種子、夏はサクラの種、秋はイチイの実を食べ、冬にかけてチョウセンゴヨウやクルミを食べる事が知られています。

*1種類の生きものが生きていくためには、他の多くの生きものが必要である事がわかります。

また、シマリスは地面、エゾリスは地面と木の上、モモンガは木の上だけ、というように、似たような仲間でも、生活する高さをかえる事で、あまり競争しないですむようになっています。

*多くの種類の生き物がすむためには、森の高さや広さも大切である事がわかります。
モモンガは木の穴を使い巣にします。エゾリスは普段木の枝を編んだ巣を使いますが、冬の一番寒いときはやはり木の穴を使います。
モモンガがすむような木の穴はキツツキの古い巣が多いようです。エゾリスは木の中がくさってできた大きめの穴を使います。
モモンガがすめるようになるためには、まずキツツキがすめる森でないといけない事がわかります。また、エゾリスがすむためには、大きな木の穴ができるような大木があったほうがいい、という事がわかります。

*餌だけでない、生き物どうしのかかわりもたいせつだという事がわかります。

この他帯広にどんな動植物がいるか、という事については、
○○(地域の教育研究所が出版したガイド)が学校にあるはずなので調べてください。

森と人間
日本では昭和30年くらいまで、一般の人たちの生活に必要なエネルギーは家のそばにある森林からもらっていました。燃料、暖房、食料や肥料、水です。
鉄やコンクリート、電気や石油で今まかなっているものの多くを森から得ていました。
それは平安時代ごろからおこなわれつづけてきた事がわかっています。
しかし、電気や石油、コンクリートに頼るようになってから、多くの自然を破壊し、このままでは人間の社会が続かなくなる可能性が考えられるようになりました。

そこで、わかりやすくするために自然の価値をお金に置き換えてみることが行なわれるようになりました。

森林・林業学習館からの引用です
http://www.shinrin-ringyou.com/forest_japan/shinrin_hyouka.php

経済資源としての機能:6,700億円/年間
(当ブログでは略 リンク参照)

環境資源としての機能:70兆円/年間
(当ブログでは略 リンク参照)

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*ここで「生物多様性保全機能などは貨幣価値に換算できないとされている」と書かれています。「森と動物」「森は生きている」の部分はこの金額には含まれていない事になります。

*人間は「自然がこわれてしまわないような社会」「社会が壊れてしまわないような自然とのつきあい方」を学ぶ必要があります。そのためには、身近な自然とたくさんつきあって、勉強したり、手入れをしたり、守ったりする事が必要です。学校の中にすぐれたビオトープがあり、身近に「帯広の森」があり、そのような事に接する機会があるのは、とても大切な事ともおいます。

以上です。