エゾリスの会 非公式ブログ!

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ https://noken.hatenablog.com へ引っ越し

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 なぜ、エゾリスなの?

 歴史をひも解いてみると、街の中の活性化として「エゾリスの放し飼い」を考えていた方がいた時期があったようです。しかし、当時畜大教授の藤巻先生が参画する中で、「エゾリスとのよりよい共存ができる地域作り」という方向性になったと聞いています。

また、かつて中国産リスが放されそうになったこともあるようです。
参考として:日本野生動物医学会「日本産野生動物における再導入ガイドラインhttp://jjzwm.com/blog/guideline/

そういうことをしなくても、もともとリスはいるし、自然とよりよく共存出来るまちづくりを目指す中で放すことなく自然にリスが生息していくだろう、という方向性に変わったと理解しています。

 エゾリスが当時、今ほどではないけれどもよく見かけられ、これを軸にまち作りを考えたということですね。
 そして、エゾリスを調べ、同時にさらに歴史をひも解いていく中で、次のようなことが分かりました。


1.十勝平野は元来、ドングリを好む「シマリス」の大地であり、針葉樹が好きなエゾリスはあまり見かけなかった。昔の話を聞いてみても、シマリスの方が身近だったようです。
そういう意味ではシマリスを取り戻した方が「元々あった自然を取り戻す」という方向性には合致しているとも言えます。


2.戦中から戦後の平地の広葉樹林の伐採と林同士の分断によってシマリスが激減し、エゾリスは屋敷林などの針葉樹(とくにチョウセンゴヨウ)の植樹のおかげで狭い自然で高密度で生息しているようです。


3.エゾリスは針葉樹林があれば高密度化するが、種子の結実が不安定な針葉樹だけではエサ資源の増減が大きく、安定しない(2年から4年に一度ほとんど結実しない年がある)。自然林の近くに寄り添った針葉樹林が生息数が安定している感触があり(多くはないが増減が少ない)、エゾリスも自然の多様さがあった方が都合がいいようです。


4.一方シマリスは、一見良好な自然林でももはやほとんど見ることができません。エゾリス帯広市役所前ですら見られるのにたいして、シマリス帯広畜産大学周辺でもほとんど見られない(筆者の記憶ではH12までは見られた)。
樹上をあまり使わず、移動能力が劣り、体格も小さいシマリスの方がエゾリスよりも、自然の多様性や「つながった自然」を求めている。  画像はあくびするシマリス


5.このため、第一にエゾリスの安定的な生息環境を整えることを目標に、究極的にはシマリスとの共存できるまちを理想としています。
当面の大目標としては、現在の里山を作ろうプロジェクトの区域にシマリスが「自然な行動によって」進出することとしています。


なぜ、エゾリスなの?
エゾリスは十勝地方の人がもっともよくであうほ乳類の一つです。エゾリスが帯広の街に多いのは、人為的な環境に負うところが多いことは確かです、しかし、この生きものを自然の中の隣人として尊重し、よりよくつきあおうとするすることで学べることは大きいと思いますし、その象徴としての存在感は重要だと思います。エゾリスとよりよい形で共存できなければ、その先にある、シマリスが「自然な形で」みられる街にはたどり着けないでしょうから。